回転寿司で語る日本史「大正、でも、くらしいい!?」
- 作者: 吉田健二,古川隆久,鍋田吉郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2016/10/28
- メディア: Kindle版
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◯某所某回転寿司
おすし『ぐるぐる~っ』
トロツキー「なんなのこの干からびた生エビ!? 💢」
そーきち「嫌ならタッチパネルで頼めよ」
トロツキー「本末転倒じゃん、回転寿司じゃないじゃん💢💢」
そーきち「時代は変わるんだよ……そう、この国の歴史みたいにな。
あんたの国が、それこそ、そうだっただろ?」
そーきちのウザイ自分語りが始まる
「まず、おれと日本史の出会いについて話したい」
「小学生に上がるか、上がらないかだった。親父が書店に俺を連れて行った。親父は中学の社会科の先生だった」
「学習漫画の『日本の歴史』を買い与えてやると親父は言った。当然第1巻(原始時代)から読むものだと親父は思っていたようだ」
「だが俺は『大正時代』の巻を選んだ。学研だったか、集英社だったか。いずれにせよ今よりひとまわり旧(ふる)いバージョンだ。題名が『大正デモクラシー』だったと思う」
「親父は疑問に思っただろうが、俺の『直感』を優先してくれた。たぶん、『大正時代』の巻を選んだのは、表紙に描かれていた電話機やラジオが物珍しかったんだと思う」
そーきちのウザイ自分語りが終わり、トロツキーはそーきちを急かす
トロツキー「ゴタクはいいから、はやくこの国の歴史を教えてくれよ、高校レベルの日本史をやるんだろ?」
詳説日本史B 改訂版 [日B309] 文部科学省検定済教科書 【81山川/日B309】
- 作者: 笹山晴生佐藤信 五味文彦
- 出版社/メーカー: 山川出版
- 発売日: 2017
- メディア: テキスト
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そーきち「大正時代から始める」
トロツキー「なんで」
そーきち「大正時代が好きだから^^」
トロツキー「(-_-;)」
そーきち「だってさ、トロツキーよ、まさにあんたの国で世界史に残る大事件が起こった時代だぜ、大正時代は」
トロツキー「わかってるよ、それは……わかってるけどさ」
そーきち「不満?」
トロツキー「普通は『ヒミコ』とかの時代からやるもんだろ」
そーきち「あんたの国ではどうだったんだ」
トロツキー「それはその……秘密事項です」
そーきち「(・∀・)ニヤニヤ」
そして本題へ……
そーきち「正直つまんねーんだよな。ロシア史で、『タタールのくびき』とか、いきなりやられても」
トロツキー「いや、『タタールのくびき』の前にも、いろいろあっただろ」
そーきち「ほんとかいな」
トロツキー「ほんまやで」
そーきち「でもさぁ、正直アレクサンドル2世が爆殺されないとつまんないんだよね」
トロツキー「は!? 💢💢」
そーきち「おっとジョーダンジョーダンマイケルジョーダン。それはそうとして、日本史をやるぜい」
西園寺公望の憂鬱
そーきち「桂太郎って総理大臣がいたんよ」
トロツキー「うん」
そーきち「西園寺公望(さいおんじきんもち)さんとかわりばんこで内閣運営してたのね(『桂園時代』)」
トロツキー「ほほお」
そーきち「西園寺さんが総理大臣やってたとき(第2次西園寺政権)に、明治天皇が亡くなって、いろいろあって、あたらしい天皇が即位して」
トロツキー「大正時代になったんだ」
そーきち「そーよ」
そーきち「その時の西園寺内閣は危うかったんですよ」
トロツキー「なんで」
そーきち「あんたの国にも軍隊ってあっただろ」
トロツキー「そりゃまあな」
そーきち「当時は軍隊があって、陸軍に血の気の多いヤツが多かったんだ」
トロツキー「いいのかよそんなこと言って。真向かいのお爺ちゃんが真顔でこっち凝視してるぞ」
そーきち「えーのえーの」
トロツキー「あっお爺ちゃんが会計ボタン押しちゃった」
トロツキー「お前のせいだぞ、そーきち💢💢」
そーきち「えーのえーの」
トロツキー「えーわけなかろう」
そーきち「とにかくねえ、山県有朋(やまがたありとも)っていう嫌われ者の政治家兼軍人がいまして」
トロツキー「スルーかよ」
そーきち「まさに陸軍のドンだったの。桂太郎は山県の下にいたの。で、桂太郎の下に上原勇作っていう軍人がいたの」
そーきち「それで、上原勇作が時の西園寺内閣の陸軍大臣だったの。トロツキーよ、『2個師団増設問題』って知っとるけ?」
トロツキー「は!? ニコニコ動画?」
そーきち「流石にその受け答えはないだろー」
そーきち「要するに、日本陸軍は、陸軍のちからを増強したかったの。でも、西園寺首相は『予算ないから無理』って陸軍の要求を突っぱねたの。そしたら陸軍大臣だった上原勇作が辞めちゃったの」
トロツキー「それでどうなったの」
そーきち「内閣総辞職」
トロツキー「( ゚Д゚)ハァ?」
そーきち「さっき山県有朋が陸軍のドンだって紹介したでしょ?」
トロツキー「うん……」
そーきち「明治時代、山県有朋が総理大臣だったときに、『軍部大臣現役武官制』っていう制度をつくったの」
トロツキー「それがどうかしたの」
そーきち「『軍部大臣現役武官制』ってことは、陸軍大臣と海軍大臣が現役の軍人でないと内閣作れないってことでしょ」
トロツキー「それが?」
そーきち「上原勇作辞めちゃったじゃん」
トロツキー「( ゚д゚)ハッ! 上原勇作は陸軍大臣……陸軍大臣がいないと内閣は当然作れない……」
そーきち「まだわからないのかよ」
トロツキー「わかったよ。つまり山県や桂、というよりも陸軍サイドがゴネて『現役武官』の陸軍大臣を擁立しなかったんだろ。それで西園寺さんは『もはやこれまで』って、カンネンして、総辞職したんだろ」
そーきち「そーゆーこと。で、めでたく桂太郎が三度目の総理大臣に相成りました」
トロツキー「めでたかなさそうだけどな」
そーきち「鋭いw」
次回予告
- 『桂太郎の憂鬱』